『地球まるごとカチコミ道場破り2020』
敢行声明文
 
2019年3月。
日本語すらままならぬ田舎者達がアメリカ大陸を横断する冒険を終えた。誰もが「まだ早すぎる」「なんの意味もない」と嘲笑したそのアドベンチャーは偶然か必然か、たくさんの産物を生んだ。
 
その1つが、先立って発表されたアメリカでのCDリリースと全米ツアー(まともなヤツ)。
 
2019年の夏にあれよあれよとそんな話が決まり、メンバーに「2020年は、リリースツアーという、いかにもちゃんとした『バンドらしい』方向でアメリカに行けそうだな」と伝えると、メンバーの1人がボソっとこんな言葉を漏らした。
 
 
 
    「なんだ、今回は冒険じゃねえのか。」
 
 
 
うすうす気が付いてはいた。
あの無謀な大陸アドベンチャーの中で出会った米国の人々が、こんな日本のヤンキー達を呼んでくれているのはこの上なく嬉しかった。
けれど、あまりにも壮絶なあのジャーニー(絶賛発売中DVD『船出の理由などなくていい』参照)を終えたその後で、現地の人々が何から何まで全て用意してくれたリリースツアーという美しいレールの上をただのうのうと歩ける俺達ではなかった。
 
  「冒険じゃねぇ。」
 
その言葉がその夜、頭の中をぐるぐると巡る。
 
思えばアメリカ大陸横断を終えて気が付いた事は、「帰りを待ってくれた最高のエビバデがいる事」と「20年共に闘ってきた、仲間というこの上ない財産を持っている事」。
 
また再び、この上なく無謀で、最高に無駄で、猛烈にハードルの高いチャレンジがしたい。やりたいと思える事に対する周りの評価や価値などはハナから眼中にない。
 
俺達が面白いと思える事。
ヨーロッパ…?アジア…?アフリカ…?
 
ふと昨年日本に帰国した時のメンバー間のやりとりを思い出す。
 
  「次は世界一周ツアーだな!!」
  「さすがにそれは無理があるだろう笑」
 
「無理」。そうだ、その言葉こそが俺達のアメリカ大陸横断を決定付けた全ての根源だ。当時一緒に仕事をしていた大人達に言われた言葉、「無理」。
 
その言葉に完全に煮えくり返った俺達は、膨大な数の営業とライブハウスでの活動のみで大陸横断の為の予算の全額を自ら稼ぎ上げ、素晴らしすぎる大陸横断ツアー(絶賛発売中DVD『船出の理由などなくていい』参照)を敢行した。
 
できたじゃねぇか。大陸横断。
 
答えは出た。無理かどうかはやらなきゃ分からねえ。世界一周だ。せっかくアメリカでリリースができるなら、モノのついでだ、世界を見渡してみようじゃないか。
 
あとはどのように説得すればメンバーの皆が納得してくれるだろうかと一人、悩みに悩んだその数日間は、
結果として人生で最も無駄な悩みを抱えた日々となった。
 
なぜならばそう、嘘のような本当の話、
ナゲッツのメンバーは時を同じくして4人全員が「地球一周」という同じ答えを出していたからだ。
 
「4万㎞」。何も説明せずに突然に発したその膨大な数字に、誰一人が動じぬどころか、「同じ事を考えていた」と4人が全員、口をそろえた。
    鳥肌が立った。
全員が出会った5歳の頃から、実際はきっと何も変わっていない。バカげている事ほど、無駄と思える事ほど、俺達の脳ミソは激しくスパークするように出来てしまっている。
 
親に内緒で八千代のゲーセンまでチャリで行ったあの日から、
先パイ達から拝借したZRXで海まで皆で競争したあの日から、
ハコ乗りで「357号線の果て」を探しに行ったあの日から、
  
  何も変わらない。
   次は「地球を一周」するだけの話だ。
 
「あそこの国では日本人はウケる」だとか「日本人がたくさんいる地域がある」だとかいう、いわゆる「マーケティング」という余計な言葉には一切耳もくれず、世界地図をおっぴろげてニヤニヤとしながらただひたすらに心をくすぐる大いなるジャーニーを企てた。
 
誰も知らないような所に行きたいのは、1度アメリカで全員が経験してしまったからだ。
言葉も、背景も、何も分からない余所者がひとたびステージでエンターテインメントを繰り広げた途端、一瞬にしてその場の空気が熱狂へと変わる瞬間を。
 
オーストラリア/マレーシア/インド/エジプト/イギリス/スペインそしてアメリカ。
 
考えれば考える程にバカバカしい。
バカバカしい程に全身の血が騒ぐ。
 
そこからは怒涛の資金繰りとブッキングを含めたプロジェクトが始動した。
 
ちなみに、地球一周を発表した今年の1月から色々な人に色々な事を言われた。
 
「なにかツテがあるの?」
「だれかパトロンがいるの?」
 
船橋の海老川すら渡った事のない大穴の田舎者達が、まずそんな世界各国にツテなどある訳がない。(もちろんアメリカに関しては去年のアドベンチャーによるもの)
正確に言うと、オーストラリアやイギリスに関しては海外遠征をしているアーティストも多く、ツテを探せばいくらでも見つかった。
 
がしかし、「ちょっと知り合い紹介してくださいよ」なんて頼るつもりは毛頭なかった。
 
どう考えてもアテのない所へ飛び込む方が面白いに決まっている。
 
10月からのおよそ3ヵ月、各国現地の全く面識のないライブハウスへ直接、総数300通近くのメールを送った。
9割のライブハウスには相手にもされない中、馬鹿げた熱意を面白がって出させてくれるという所もいくつか、それが現在発表しているライブハウスの面々だ。
言語はもちろんシステムや契約などもそれぞれ大きく違っていて、未だどうなる事やら全く読めない箇所も多いけれど、自分達の手で乗り越えたこの壁こそが俺達をまた一つ大きくするに違いない。
 
そして、経費。
 
全ての費用を含めるとおよそ450万円という数字をはじき出した時は、さすがに大借金を覚悟したけれど「世界に行きたいのでどうかお金を恵んでください」などと頭を下げられるようなバンドでも到底ない。
クラウドファンディングなどの方法でたくさんの人から「お金をください」といって集めようとするのも一つなのかもしれないけれど、好き勝手に自分達のやりたい事をやろうとしているクセに、「投資してくれ」というのも可笑しな話だ。
そのナゲッツのフィロソフィーは米国横断の時から何ひとつ変わっていない。
 
 
「俺達の唯一の方法。
  エンターテインメントで、稼ぐしかねえ。」
 
 
アメリカの時と同様、去年の暮れには怒涛の営業とライブハウスの活動のみでほぼ予算の全額を賄った。これは本当に嘘偽りなく、ナゲッツのメンバーの血と汗と涙によるものだという事は胸を張って誇りたい。
 
無所属でフリーでありながら、ありとあらゆる辣腕な業界人と歯を食いしばって闘いながらくぐり抜けてきた死戦。
 
本当に本当に、こんなバンドは他にいないと本気で思う。
 
幸いな事にアメリカ大陸横断のDVD(「船出の理由などなくていい」絶賛発売中)も多くの方々より大変なご好評を頂き、非常に売れ行きが良かった事もある。
 
もちろん何も自分達「だけ」の力で乗り越えてきたなどとは1mmも思ってはいない。
 
 
ここからが1番大切な所。
 
 
 
踊りたい、癒されたい、笑いたい、泣きたい、応援したい、応援されたい、
 
どんな思いを持っているにしても、何らかの形でナゲッツと出会い、こんな男達に価値を見出し、対価を払ってナゲッツに触れてくれた全てのエビバデのおかげで、今回の最高にブッ飛んだプロジェクトが叶う。
 
様々な営業先がナゲッツを呼んでくれるのも、ライブハウスが呼んでくれるのも、新しいグッズを出せるのも、何から何までの全てはエビバデのその1円、1いいね、1拡散、1再生によって成り立ったものです。
 
 
言葉には到底できないほど、
本当にいつも感謝しています。
 
 
1ヵ月もの間、こんなに勝手で無謀なジャーニーに出かける俺達をどうか許してくれ。
何の足しにもならないかもしれないけれど、今回のジャーニーは長い期間という事もあり、前回同様、帰国後に映像をDVD化して発売となるとエビバデにお届けするまでの時間がかなりかかってしまうから、
お恥ずかしながら現地の様子をYouTubeで随時配信していくぜ。
 
数多あるナゲッツのこだわりの中でも、
「手軽に得られる感動などない。」がモットーの1つである俺達は、
【クラウドファンディング】と並んで【動画配信コンテンツ】も極力避けて通ってきた手法なのだけれど、メンバー全員で本当に悩みに悩んだ結果、今回のプロジェクトに関してはどうしてもいち早くエビバデに現地の様子をお届けしたくこの決断に至りました。
やるからには面白い映像しかお見せしないから是非お楽しみに。
 
そしてきたる4月3日(金)、故郷船橋にてこれまでにないほど激ヤバな盛大なる単独公演を開催するから、そこでまた、エビバデとお会いできるのを楽しみにしてるぜ。
 
アホ丸出しなプロジェクトだけれども、4月以降も燃え尽きる間もない程にちゃんとドデカい発表がもう既にたくさん待っているので安心して乞うご期待。
 
 
 
船橋の25歳のチンピラ田舎っぺ達が踏み出すこの大いなるジャーニーへ向けた確たる勇気の一歩は、
「世界進出」や「マーケット展開」という次元への歩みでもなければ、
一介の「巡業」や「ドサ回り」という括りにはまるモノでもない。
 
持ちうる全ての財産を投げ打って、玄関を飛び出すこの姿を、誰かが鼻で笑ってくれたらそれも良し。何か新たな一歩を踏み出す源になればこの上なし。
 
「空っぽのポケット」ほど、俺達をクリエイティブに突き動かすものはない。
 
ただ単に俺達は漠然と世界に何か答えを求めているだけかもしれないし、実際の所は帰ってきても多くの人が言うように何も変わってない、無意味なモノかもしれない。
 
 
 
でも、
 
 
 
 
 
 
    やってみなきゃ、誰にも分かりっこない。
 
 
 
 
 
 
 
  いってきまーす!
 
 
 
 
偏差値の低いメンバーを代表して。
THE NUGGETS 
フロントマン   工藤わたる